2009年11月2日月曜日

1914年 『セントルイス・ブルース』 WCハンディ



「ブルースの父」と称されるWCハンディが、1914年に発表した名曲『セントルイス・ブルース』。
彼の最大のヒット曲であり、おそらく最大の代表作だろう。

この曲を愛するファン&ミュージシャンは多く、カバーされ録音されたものは100を軽く超える。

代表的なものだけでも、ODJB、ベッシー・スミス、ルイ・アームストロング、キャブ・キャロウェイ、ベニー・グッドマン、グレン・ミラー、チェット・アトキンス、ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ、ボストン・ポップス・オーケストラと、名を上げればきりがない。

中でも、1925年に録音されたベッシー・スミスとルイ・アームストロングの共演は、アメリカ音楽史に残る名演とされている。

映画のサントラとしても多く利用され、1929年、39年、41年、58年と4回にわたって製作された映画、その名も『セントルイス・ブルース』や、最近では『キル・ビル Vol.2』でもフィーチャーされている。
ディズニー映画の『ブルー・リズム』のなかで、ミニー・マウスが歌うバージョンもかわいらしい。

16小節と12小節のパートがあるこの曲は古典ジャズのスタンダードにもなっており、プロ、アマを問わず、ジャズを網羅しようとする中では必須アイテムだ。

また、ボーカル入りのバージョンで歌われる冒頭の歌詞、「夕暮れ時に、日が沈んでいくのを見るのが嫌いなの」という歌詞は、当時の流行語になったほどの名フレーズだ。

現在、ミズーリ州セントルイス市の擁するアイスホッケーのチームも、この曲にちなんで『セントルイス・ブルース』と名づけられている。

セントルイスで出会った、夫を失って嘆き悲しむ女性がヒントになったと、ハンディ自らが語っている。

WCハンディがこの世を去ったのは、1958年。
ハンディがミシシッピ州のタトワイラー駅でブルースと出会ってから、55年の月日が流れている。

その間には、ロバート・ジョンソン、Tボーン・ウォーカー、マディ・ウォーターズ、BBキング、その他、数多くのブルース・ミュージシャンがデビューし、スターダムへの階段を駆け上がっていった。

その栄光の源には、WCハンディと、名も無き南部の黒人が歌うブルースとの出会いがあった。

1958年3月28日、ニューヨークのハーレムで行われた彼の葬儀には2万5千人を越える参列者が訪れ、15万人を超える人々が教会周辺のストリートに集まり、彼の死を惜しんだ。

現在この「ブルースの父」は、ニューヨーク市ブロンクス地区にあるウッドローン・セメタリーという墓地で、静かに眠っている。

♪ ♪ ♪

今回アップした動画は、1929年発表の映画『セントルイス・ブルース』から、「ブルースの女帝」といわれたベッシー・スミスが歌うワンシーン。

音質的には良いとはいえませんが、ベッシーが歌う姿が見られる貴重な動画なので、これを選びました。

他にベッシーが歌う「セントルイス・ブルース」を聴くなら、やはり1925年のルイ・アームストロングとの共演がおススメです。

今(2009年)からちょうど80年前に録音されたものですが、ベッシーの情感豊かな歌声と、『セントルイス・ブルース』の美しくも物悲しげなメロディを、感じていただけたら幸いです。

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